お題「#しごとの思い出」
大学に在学中から卒業して結婚するまでの数年間、フリーでアナウンスの仕事をしていた時期があります。
地元のテレビやラジオの仕事をさせてもらっていました。
いろんな人に出会えたし、貴重な経験もしました。
世の中にはいろんな人がいるんだと、衝撃を受けた数年間でもありました。
フリーのアナウンサーなんて言うと、すごくかっこ良く聞こえますが、人気局アナがフリーに転身したのと違って、実際はその辺の石ころ扱いの時もあるんですよ(笑)。
目次
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フリーのアナウンサーになるまで
私の高校は、放送部が、毎年コンクールで全国大会に出場していたくらい活発な高校でした。
活動はかなり熱心で、私もそこでビシバシと基礎を鍛えられました。
大学に在学中は、アルバイトとして地元放送局のアナウンス系の仕事をさせてもらいました。ありがたいことにレギュラーで。
その後、4年生になり、就職活動へ。
大学に求人が来ていたので「受けてみるか」くらいの軽い気持ちで、地元のテレビ局に応募。
ところが、行ってみてびっくり。
倍率が200倍です!(募集1人の所に200人が応募)
実技と面接に合格して、最終試験に臨んでみて衝撃を受けました。
最終に残っていたのは5人で、3人は首都圏からの応募者。
首都圏からわざわざ地方に受けに来る方々って、特定の先生に付いてレッスンやらアドバイスやらをもらって受験しに来ていたんです。
当日の試験内容は、カメラテストと英語の受け答えと筆記試験。
みなさん、カメラテストの練習も何度もしてきているようで、目線の向け方や、着る服のアドバイスまでされてきていました。
こっちは、奨学金をもらっている立場だったので、バイト代を全部使って買った地味なスーツが1着。
文字通りの一張羅です。
差がありすぎる……。
カメラテストと英語はなんとか最低限のことはできたような気がしますが、筆記テストはボロボロで、結果は今でいうお祈りメール。
私は、アナウンサー派遣事務所に所属して、フリーで仕事を続けることになりました。
一番印象的な仕事は
ラジオ番組の仕事
そこで一番思い出に残っているのは、ラジオ番組の仕事です。
地元TV局の男性アナウンサーと一緒に、某スーパーの中のスタジオからお昼の時間にする生放送を担当させてもらいました。
オープンなスタジオですから、スーパーに来たお客様たちが、席に座って生放送の番組を観覧していきます。
大抵は、平日の昼間なので、年配の方々ばかり。
番組では、毎回、売り出し中の歌手などがゲストとして出演していたので、演歌歌手の時などは、それなりに盛り上がっていました。
異様な客層
ところが、ある日。
客席に、いつもの穏やかな人々とは全く違う面々が集まっていたことがありました。
若い男性陣が、席に座り切れずに、周囲に立ち、あるいは一番前の席の前で床に座り込み、かぶりつくようにしゃがみこんでいます。
手には皆さんカメラをしっかりと持って。
誰も声を出したりしている風でもないのに、伝わってくる異様な熱気。
私は直接スタジオに集合してから、打ち合わせをしていたので、その日のゲストを知りませんでした。
「今日のお客さん、いつもと違いませんか?」
「あー。今日はね、ゲストが〇〇〇だから」
〇〇〇と聞いても、当時の私にはピンとこず。
聞いたことがあるような、ないような???
いや、ない。
客席の熱気にタジタジ
間もなく、その〇〇〇さんたち(3人組の女の子でした)が到着。
二十歳前後の、可愛らしい方々でした。
が、やはり私は、失礼ながら全く知らない人たちです。
そして、彼女たちが登場すると、客席の雰囲気が一変!
舞台の上に登ってこそ来ないものの、男性陣は息遣いも荒々しく、身を乗り出し、あらゆる角度からカメラを構え、じわじわと前に押し寄せてきます。
舞台脇に寄っていたにもかかわらず、私は思いっきり複数の人たちから「邪魔っっ」って目で睨まれてしまいました。
す、すみませんっっ!でも、これ以上、よける場所ないんです……。
当時は、まだごく一部だけの存在だったのだと思いますが……
彼らが、オタクの走りだったんだろうなあ。
〇〇〇さんたちは、一部の間でマニアがいたらしいアニメかゲームの声優さんグループだったと思います。
ちょっとお色気の入ったキャラ……だったのかな。
若き男子たちの、異様な熱気の正体が分かった瞬間でした。
終わりに
世の中には、いろんな世界があり、いろんな人たちがいるのだと勉強させてもらった仕事場でした。
そして、フリーでアナウンスの仕事をしているというと「すごいね!」と言われることが多かったけれど、すごいのはTV局の人気女子アナがフリーに転身して活躍している場合であり、実際はゲストさんを盛り上げたり、スムーズに番組を進めたりする縁の下の力持ち的な立場です。
時には「誰だ、コイツ!邪魔っ」って扱いにもなるんだよという話でした。
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