引っ越しの季節ですね。新居での家具の配置は、どうやって決めていますか?
壁や窓、コンセントの位置も、考えに入れなければならない重要なポイントですが、地震が起きたときに安全な配置になっているかどうかも、考える必要があります。
安全な家具の配置って?と思われる方も多いかもしれません。
でも、家具の配置はあなたや家族の命を左右します。
各部屋に安全地帯を作っておくこと、特に寝ている場所の安全を確保しておくことが、何よりも重要です。
引っ越しや模様替えのタイミングで家具の安全な配置について迷っている方、今の配置で大丈夫か気になっておられる方へ。
東日本大震災をはじめ、震度6以上の地震をこれまでに7~8回経験した私からのアドバイスをご紹介します。
※2021/3/6追記・自宅リビングの実例を追加しました。
目次
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家の中に安全地帯を作る
家の中にいるときに地震が来たら、まず必要なのが揺れによるケガから身を守ることです。
それには、家の中に何か所か安全地帯を作って置く必要があります。
安全地帯とは、家具が倒れてくることがなく、上から物が落ちてきたり、割れたガラスでケガをしたりすることのない場所です。
あらかじめ決めて置くことで、揺れが来たら迷わずすぐに移動することができ、ケガをせずに済みます。
安全地帯は、できれば各部屋に1か所ずつあると良いのですが、間取りの関係で難しい場合もありますよね。
でも、絶対にここだけは安全地帯にしなければならないという場所があります。
それが、寝ている場所です。
ベッドや布団、寝ている環境はそれぞれ違うと思いますが、その周囲にタンスや本棚など「倒れてくる家具」や「落ちてくる物」を置かないことが何よりも重要です。
また、揺れが落ち着いたときにスムーズに逃げられるように、倒れてきた家具でドアをふさがないような配置にする必要があります。
この二つだけは、外せない条件として、家具の配置を考えましょう。
家具の配置が命を左右するー1978年の経験から
散乱するガラス、降ってくるガラス
私が初めて体験した大地震は、子どもの頃に遭った宮城県沖地震です。
最大震度は5となっていますが、これは正確な震度ではないと感じています。
当時は今のように地震計がたくさん設置されていなかったため、各地の正確な震度は計測されなかったのではないでしょうか。
私が住んでいた、仙台市東部の水田が多い地域では、もっと揺れも被害も大きく、被害状況を見ると震度6強相当だったと思います。
家の中は食器棚が倒れて割れた食器が散乱し、シャンデリア風のライトが割れて頭上からガラスのカケラが降ってきました。
家の中にいる場所がなく、押し出されるように外へと逃げたのを覚えています。
ベッドにタンスが!
更に私が恐怖を感じたのは、いつも両親が使っていたベッドの上にタンスが倒れていたのを見たときです。
地震が起きたのが夕方だったため大丈夫でしたが、夜中だったら間違いなく両親はこの下敷きになっていたはずです。
この時のゾッとした気持ちは今でも忘れられません。
我が家の安全地帯具体例
このことを教訓に、私は引っ越すたびに、まず安全な家具の配置について考えるようになりました。
必ず、家の中に安全地帯を決めて、引っ越したら一番最初に子どもに「地震が来たら、ここかここに避難すること」と伝えていました。
大抵はこんな場所です。
■各自のベッドの上
■リビングのソファの上
■玄関付近
ベッドの上とソファの上は、一日の中でもいる時間が長い場所です。
その場所だけは、転倒してきた家具や落ちてくる物でケガをすることがないようにしています。
玄関先の廊下は、壁が多くて耐震性が高そうということと、倒れてくる物もないので、どんな家に引っ越しても一次避難場所にしています。
家具を安全に設置する具体例
リビング
現在の我が家のリビングです。今回の引っ越しでソファは捨ててしまったので、座椅子やコタツ周辺が安全地帯かな。
高い家具は近くに置かないようにしています。
「安全を優先に考えていたら、家具を置く場所が無くなってしまう」と思われる方もいるかもしれません。
引っ越し先によっては、家具を安全に置くことが難しい間取りのこともあります。
実は、私が住んでいる今のマンションもそう。
できれば、もっと安全な場所に食器棚を置きたいのですが、いつもみんなが過ごすリビングに置かなくてはならなくなりました。
ここです。白くて背の高いのが食器棚。
地震が起きたときに一番危ない家具のひとつです。
これが倒れて割れた食器が散乱したら、玄関に通じる廊下へ行くのが困難になってしまいます。
で、どうしたかというと
家具転倒防止の突っ張り棒をつけています。
正しく取り付けていれば、これの効果は絶大です。
2005年に石巻市に住んでいたとき震度6弱の揺れに遭いましたが、全く倒れませんでした。
2011年の東日本大震災のときに住んでいた仙台のマンションは、天井が柔らかくて突っ張れず、下に敷くタイプの転倒防止グッズを使っていましたが、効果は残念ながら無しでした。
下の2枚の写真は、どちらも下に敷くタイプの転倒防止グッズを使っていました。
倒れた食器棚
倒れた本棚
特に本棚の方は、和室にあったため下が畳だったのも良くなかったと思います。
柔らかい畳の上に耐震グッズを敷いても、効果は減りそうですもんね。
私の経験からは、突っ張りタイプの家具転倒防止をお勧めします。
寝室
寝室はとにかくシンプルに、家具を置かずに済むなら置かない、置くときは倒れてくる方向にベッドが無いような向きに置く。
地震の後に、本棚や落ちてきた本で埋もれて亡くなっていた、という話をしばしば聞くことがあります。
ベッド周りには、極力何も置かないことを強くお勧めします。
震災当時の写真はないのですが、具体例として現在の息子部屋を載せておきます。
写っていませんが、写真手前右側に本棚があります。向きはテレビ方向なので、万が一倒れてもテレビに被害がいくくらいです。
安全なのがお分かりいただけたかと思います。
私のベッド周りも似たようなものです。もっとシンプル。
お恥ずかしいので、現在の私の寝室は、そのうち気が向いたら追記しますね。
東日本大震災当時も、とにかくベッドの上は安全にしていたし、息子もそれは分かっていました。
3.11には、自宅マンションにひとりでいた息子ですが、揺れが来たときは食器棚の隣にあるパソコンを使っていたといいます。
揺れた瞬間に、自室に走り込みベッドに飛び乗ったそうです。
揺れの瞬間に息子がいたパソコン周りがどうなったかというと
こんな状態になっていました。
どう行動したらよいか分からずに、この辺りでウロウロしていたらケガをしていたかもしれませんね。
寝室その2・どうしても家具を置く必要がある場合
間取りや家具の都合で、どうしても寝室に家具を置く必要が出てくることもあると思います。
そんなときは、ベッド側に倒れてこないようにしましょう。
これは、3.11当時の私の寝室ですが、どうしてもドレッサーを置く場所が寝室しかありませんでした。
手前がベッドです。
隣にドレッサーを置くことになったため、せめて倒れてくる方向がベッド側にならないようにしておきました。
おかげさまで、ベッド上には何の被害もありませんでした。
テレビにも転倒防止を
3.11のときは買ったばかりのテレビも倒れて画面が割れてしまいました。
奥の方で倒れているのがテレビです。
この当時ちょうど薄型に切り替わり始めていて、新しく2台買ったばかりでした。
そして、薄型のテレビって倒れやすいんだと初めて身をもって知りました!
それ以降は、テレビにも転倒防止をしっかり取り付けています。
3.11のときの詳しい状況はこちらをどうぞ①~⑤まであります。
家の中の被害については②あたりに書かれています。
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背の高い家具はどこに置く?
サバイバル部屋
じゃあ、背の高い家具はどこに置けば良いのでしょう。
我が家では、小さ目の部屋や使いにくい配置の部屋を家具専用にすることが多いです。
タンスや本棚をすべてその部屋にまとめて置き、必要がない時には長時間いないようにしています。
ウォークインクローゼットや納戸がある家なら、そこにまとめても良いですね。
昔住んでいたマンションでは、窓のない和室を家具専用にして、その部屋を「サバイバル部屋」と呼んでいました。
当時、小学校低学年だった息子には、地震が来たらサバイバル部屋からはすぐにでること、と言い聞かせていたものです。
まとめ
家具の配置によっては、命に関わることにもなりかねません。
特に小さなお子さんのいるご家庭は、家具の転倒には注意したいですよね。
宮城は地震の多い土地なので、昔から家具の配置にはかなり気を配っていました。
でも、3.11の我が家の写真でお分かりのとおり、いくら気をつけてもまだまだ足りなかったことを地震が来るたびに思い知らされます。
テレビは薄型になって倒れやすくなっているし、引っ越した部屋によっては突っ張り棒を使えないこともあるし。
ただ、東日本大震災でも感じたのが、家の中に安全地帯をいくつか作って置くことで、いざというときに慌てずに行動できるし、ケガをせずに済むということ。
息子がとっさにベッドに走り込んだと聞いて、普段から安全地帯を確保しておく重要性をあらためて感じました。
ベッド周りは極力シンプルに。家具を置くなら倒れる方向を考えて。
どうしても背の高い家具を、普段いる場所に置くときには、できるだけ天井との間に突っ張り棒を取り付けましょう。
また、高い家具は使わない部屋にまとめて置くことも考えてみてください。
3.11から10年。
ご自宅の家具の配置を見直すきっかけになっていただけたら、うれしいです。
本日ご紹介した転倒防止グッズはこちらです。
防災グッズについてはこちらをどうぞ
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