「Sさんって、本当はナイーブな方なんですね」
何気なく私が発したひと言が、ことの発端になるとは考えもしなかった。
今からン十年前、私が地元でアナウンス系の仕事をしていた時のことだ。
場所は舞台袖にある小さな控室。
ラジオの公開録音が始まる直前のことだった。
この時、私はメインの司会をされるSさんと、二人でその控室にいた。
Sさんは、おちゃらけたキャラが売りの、地元中心に活躍しておられた男性タレントさん。当時30歳前後くらいだったのではないかと思う。
私は当日、Sさんのアシスタントとして一緒に司会をすることになっていた。
打ち合わせが終わり、雑談を始めて少し経った頃に、先ほどの私の発言があったと記憶している。
Sさんは、それを聞くと一瞬フリーズした後に
「いやー、ホントの俺を分かってくれるのはyuccowちゃんだけだよーっ」
と、いつものように冗談っぽく笑いながら言って、そのときはそれでお終いになった。
ところがその数日後、Sさんからの猛アプローチが始まってしまったのだ。
「食事でもどう?何が好き?」
と電話をもらったが、当時、今の主人とすでに婚約していたので、そう伝えて断るも、
「やっぱりダメ?」
と、くり返し電話が来るようになった。
大変申し訳ないが、電話が来るのは正直面倒だったし憂鬱だった。
その都度断っていると、今度は「打ち合わせを兼ねて」という電話が来るようになった。
うーーーん。打ち合わせと言われると断りにくい。。。
打ち合わせだけなら、とOKすると、話はいつの間にか映画を観に行くことに変わっているではないか。
「○○って映画あるんだけど、それ観てから打ち合わせの流れで良いよね」
……は?
いくら当時20代で、今よりさらにニブかった私でも、これは変だよね!と分かる。
さすがに焦って
「映画は違いますよね。止めておきます」
と、お断りの電話を入れると、
「あー、やっぱり、そうだよね」
それ以後、電話は来なくなった。
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当時は、なぜ急にアプローチされるようになったのか全く分からなかったが、今思い返すと、あの「本当はナイーブなんですね」が原因だったのだと思う。
きっと彼は、本当の自分とは違うお笑い系のキャラを演じていて、周囲からもそういう性格だと思われることに嫌気がさしていたのではないだろうか。
そんなときに、本当の自分を見てくれる人間が現れた!と思いこんでしまったんだと思う。
でも……。
すみませんっ💦
告白します!!!
あの頃、実は私は星座占いに凝っていて、Sさんの誕生日を聞き
(あー、うお座のA型かあ。それって、かなりナイーブな性格なんじゃなかったかな)
と思い、何気なく
「じゃあ、ナイーブな性格なんですね♪」
と、言ったに過ぎないんですぅ~~~っ💦💦💦
Sさんの本当の内面についてなんて、考えたこともありませんでした💦
うかつな発言をするものではありませんね。
若かった私は本当に薄っぺらくて、深く考察したり、他人の心の奥を想像したりが苦手だったなあとつくづく思います。
さすがにもう時効かなと思い、思い出話をさせていただきました。
読んでくださった方、ありがとうございました。
今週のお題「告白します」
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